フェンスに揺れるスカート

深森花苑のブログです。幻想小説を書いています。

うたたね小噺

北海道と東京ではカルピスの「普通」の作り方が違った話

子どもの頃、一番うれしかったお中元が「濃縮カルピス」だった。 カルピスを飲むときにはきまって特別なグラスが出された。苺がプリントされていたり海の風景が広がっていたり、柄はそのときどきで違ったけれど、食器棚の奥から必ずぴかぴかのグラスを引っ張…

なだらか

時間はあらゆるものを淘汰していく。この世に存在する事象は全てなだらかになっていくしかない。誰もその力に抗うことはできない。昨日の夕御飯は思い出せても、一月前の朝御飯は思い出せない。それと同じこと。しかし、人は抗おうとする。 小さな波を起こし…

せせらぎを聞きながら

川沿いの腰掛けで時を過ごす人がいる。 コンビニの袋を持った会社員、ノートパソコンを操るジャンクフードが好きそうな男、煙草を吸う髪の明るい女、iPhoneからイヤフォンへ伝う音楽に耳を傾けるジャージ姿のティーンエイジャー。 そういう人がいれかわりた…

近道を探す

スーパーマーケットに行くまでの最短経路がわからない。川のせいだ。うねうねとカーブを描く舗装路が方向感覚を麻痺させる。付き合わされるのはごめんだ。私は川の裏のまっすぐな道を歩いていた。毎日、毎日。たった二回、曲がり角を曲がるだけ。強欲な人間…