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@真っ暗な上も下もない空間
暗闇のなかに、わずかな人の影らしき輪郭線。その輪郭線が、べちゃべちゃした気持ち悪い音をたてるなにかによってめちゃくちゃにされている。
人は苦しみのうめき声をあげながらもじっと耐えている。
しかし、さらに派手なべちゃっとした音とともにその輪郭線が消える。人の苦しみの声も止み、無音になる。
人「もう終わるのだろうか。それとも、もう終わったのだろうか」
一筋、涙を、思わせる白い線が画面上から下に向けて、現れて消える。
暗い画面のまま、人の姿らしきものが加わる。
友人(回想)「泣き虫だなぁ。これじゃあいつらの思うつぼじゃないか。『嫌だ、こんなことされたくない』って言ってやれよ」
人(回想)「そんなことしたって……勝てるわけないだろ! 同じことだよ……」
友人(回想)「おまえ一人だったらな」
再び、画面に涙を思わせる白い線。しかし、それは消えずに画面に残る。白い線の向こう側に、もう一人の人の姿の輪郭線が蠢いている。
白い領域が徐々に増えていき、そこに手を差し伸べる友人の姿。
人「……嫌だ、負けたくない。まだ、この身体は、おまえには渡さない!」