フェンスに揺れるスカート

深森花苑のブログです。

@ロボット工場

ロボットの工場長「それでは、定期メンテナンス手順に従いまして、これより工場内を案内して参ります」

幽霊「……ロボットには俺が見えるのか」

ロボットの工場長「今回のメンテナンスは167年ぶりとなりますので、チェック項目は以下となります。各アーム使用目的の再確認、稼働ルールの再確認、工場の構成要素の再確認……」

幽霊「……」

歩き出すロボット工場長と幽霊。幽霊、しばし立ち止まり壁についた無数の赤い手形を見つめる。

ロボットの工場長、部屋に入り足を止める。幽霊も従う。

ロボットの工場長「まずはロボット単体の用途最適化からご確認をお願いします。現在の最新機RE-48562型。DT-15236型から派生した後継機です」

幽霊、驚いた顔。

幽霊「……思念を伝える駆体がないんだ。そっちで操作してもらえるか」

ロボットの工場長「かしこまりました」

幽霊「部屋のアバターを被せてくれ、22XX年時点の」

部屋の景色がみるみる子供部屋に変わっていく。

記憶をなぞるように辺りを歩いて確かめる幽霊。幽霊、壁にはられた無数の写真を眺める。

幽霊「まさか、あれが俺の愛用機種の後継だったとはね。ずいぶん見た目が変わっていてわからなかった。まぁ、百年以上最適化を繰り返してたらそうなるか。でも、お前たちの最大の欠陥はこれだよ。記憶をいくら再生産してもなにも思うところがないってことだ」

写真のアップ。どれも幽霊と同じ顔をした人物のありとあらゆるシチュエーションの写真。

ロボットの工場長「すみません、よくわかりません」

幽霊「……だろうな」