【迷子電話相談室】やらなきゃいけないことができません
※「迷子電話相談室」は電話をなくした迷子のための電話相談室です。相談室開設以来、ここには一度も電話がかかってきたことがありません。そこで、当相談室では「きっと、こういう悩みを相談したかったに違いない」と想像し、電話をなくした迷子たちの相談を毎週火曜日の夜に公開することにしました。(内容は個人が特定できないように変更しています。)
夢見るマネキンです。
本当は店頭に立ってコマーシャルしなければならないんですが、どうもそれができなくて。
最近はモーニングコールに応えることもできません。それで困っています。
夢の中にずっといられたらいいのにって思うんですよね。
私、その中なら自由に動けるんです。ずっと立ちっぱなしなんかじゃなくて、踊ることだってできる。ドレスだって着れる。
だってね、夢の世界では青い手の男の人が私を助けてくれるんです。
あの人たちがいれば、私なんでもできちゃうの。
でも、現実に戻ればまた全然動けない。
ドレスも着られない。
冴えない顔の私がいるだけ。
こんな私が許せないから、モーニングコールのベルがいっそう疎ましくなる。
あの青い手の男の人が現実にもいてくれたらな。
あれはいったい誰なんだろう? どうして私の夢の中で、私を助けてくれるの?
ああ、またモーニングコールだ。もう夢の世界にはいられない。
電話に出なくっちゃ。