フェンスに揺れるスカート

深森花苑のブログです。

『海よりもまだ深く』はワナビと家族を巡る物語なのか

是枝裕和監督の『海よりもまだ深く』を観てきました。とても味わい深い作品だったので、自分の考えをこちらにも記録しておこうと思います。 キャッチコピーは「夢見た未来とちがう今を生きる、元家族(元家族に傍点)の物語」 予告編を見た時と印象の違う映…

今後の活動場所と4月1日からの新企画について

Twitterでは少し前にお伝えしたことなのですが、 今後の活動場所を当面の間、 1)ネットでの無料コンテンツ配信 2)店舗での同人誌委託販売 に絞ろうと考えています。 でも2)は1)のアクセスの伸び次第だな、と思っているので、 当面は1)のみになるか…

海原純子さんの「人生相談」の回答にみる後悔の本質

読売新聞「人生相談」での海原純子さんの回答 もともとの記事は2010年4月16日の読売新聞に掲載された「人生相談」だったそうです。(ソースわからなかったので図書館行って調べました。)結構前の記事だったのですね。 Twitterでまわってきた、ペットにまつ…

日本とアントニン・レーモンド(その1)

初めに謝罪しておくと、読みたかった書籍がなかなか手に入らなくて、自分が知りたかったところまでアントニン・レーモンドについてdigれていないレポートになってしまいました。 書籍が手に入りしだい、その点についても考察を深めたいと思います。 今回は「…

見慣れたものを見慣れないものにすること

雑誌はおしゃれであればいい、というものでもない。ときには不動産の広告やお得意さんからもらった風景のカレンダーなんかが役に立つ。コツは既成概念を捨てて、対象を見つめることだ。 本当に良い素材を手に入れるためには、どこが気に入って、どこが気に入…

関口芭蕉庵で都会の静寂を知る

新江戸川公園内にある「松聲閣(しょうせいかく)」の改修が終わったそうで、永青文庫のあるあの辺りが注目を浴びる10年に1回ぐらいのチャンス!ということで、そのすぐ向かいにある関口芭蕉庵のことを書いてみます。松聲閣のこと書けよ。そうだね。でも関口…

配達人のいない世界

物を送り届けるために人を遣るようになったのは、いつ頃からなのだろう。 贈り物の歴史は案外古く、農耕が根付き始めた頃にはその原型が既に存在していた。神様へのお供えというかたちで土地の統治者に農作物を納め、神様からのお下がりとしてその農作物を土…

「負け犬」根性を育てる優しさなんて捨てちまえ

人は誰しも多かれ少なかれ弱点を持っている生き物だ。その弱点を補うために、ちょっと自分とは違うタイプの人と交友関係を持って、虎の威を借る狐というわけじゃないけれど自分にはない力を発揮したりする。私にとってその「虎」にあたる人はよく通う整体院…

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。 さる年なので、さるをたくさん集めてみました。 本年もよろしくお願いいたします。

「2020年東京オリンピック・パラリンピック 未来へのレガシーにするための7つの提言」レポート

2015年11月14日に日本建築学会 建築会館ホールで行われた「2020年東京オリンピック・パラリンピック 未来へのレガシーにするための7つの提言」に行ってきました。シンポジウムでは、ヒルサイドテラス、東京体育館などを手がけ、新・国立競技場案に異議を唱え…

スパイスココアとロフトのUST

「寂しい」が肥大化してくると、心の眼を覆う巨大な被膜になる。なにも心に映らない気がして、そわそわ落ち着かなくなってくる。 手が動かない。 不安だ。 寂しい。 不安だ。 寂しい。 不安だ。(以下、終了条件まで繰り返し。) あまり健康的でないかんじだ…

黒そいのムニエルとなすのグリル

さみしい日の夜は思考がループする。食べなければ、と思っても料理の工程を模索するだけでエベレストに登るほど果てしない行程のように思えてくる。 悪さをしてるやつの正体はだいたい知れている。空腹は脳内で暴れ回る不快な一味の下っ端だ。あいつをまず倒…

なだらか

時間はあらゆるものを淘汰していく。この世に存在する事象は全てなだらかになっていくしかない。誰もその力に抗うことはできない。昨日の夕御飯は思い出せても、一月前の朝御飯は思い出せない。それと同じこと。しかし、人は抗おうとする。 小さな波を起こし…

せせらぎを聞きながら

川沿いの腰掛けで時を過ごす人がいる。 コンビニの袋を持った会社員、ノートパソコンを操るジャンクフードが好きそうな男、煙草を吸う髪の明るい女、iPhoneからイヤフォンへ伝う音楽に耳を傾けるジャージ姿のティーンエイジャー。 そういう人がいれかわりた…

近道を探す

スーパーマーケットに行くまでの最短経路がわからない。川のせいだ。うねうねとカーブを描く舗装路が方向感覚を麻痺させる。付き合わされるのはごめんだ。私は川の裏のまっすぐな道を歩いていた。毎日、毎日。たった二回、曲がり角を曲がるだけ。強欲な人間…

【迷子電話相談室】透明になりたいです

※「迷子電話相談室」は電話をなくした迷子のための電話相談室です。相談室開設以来、ここには一度も電話がかかってきたことがありません。そこで、当相談室では「きっと、こういう悩みを相談したかったに違いない」と想像し、電話をなくした迷子たちの相談を…

【迷子電話相談室】がんばれと周りがうるさいです

※「迷子電話相談室」は電話をなくした迷子のための電話相談室です。相談室開設以来、ここには一度も電話がかかってきたことがありません。そこで、当相談室では「きっと、こういう悩みを相談したかったに違いない」と想像し、電話をなくした迷子たちの相談を…

2015/04/19 第一回文学フリマ金沢にお越しいただきありがとうございました

レポートが遅くなってしまいましたが、第一回文学フリマ金沢に参加したときのこと。 私は新刊『廃屋』、既刊『コトダマミクジ 平成二十六年 完全版』、『野原X』、『オールフィッシュエクスプレス』持参で向かいました。 新刊はここ数年で書いた、一番作品ら…

【迷子電話相談室】やらなきゃいけないことができません

※「迷子電話相談室」は電話をなくした迷子のための電話相談室です。相談室開設以来、ここには一度も電話がかかってきたことがありません。そこで、当相談室では「きっと、こういう悩みを相談したかったに違いない」と想像し、電話をなくした迷子たちの相談を…

【迷子電話相談室】ちょっとのことでイラつきます

※「迷子電話相談室」は電話をなくした迷子のための電話相談室です。相談室開設以来、ここには一度も電話がかかってきたことがありません。そこで、当相談室では「きっと、こういう悩みを相談したかったに違いない」と想像し、電話をなくした迷子たちの相談を…

【本日】2015.04.19金沢文学フリマ出展します

金沢文学フリマ、深森花苑出展します。ブースは「う-19」です。今回は新刊が出ます!「廃屋」300円最愛の妻の亡き後、写真家はまだ現像されていないフィルムを発見する。そこに写っていたのはーー。今と過去を行きつ帰りつしながら、問う一人の人間の存在の…

【迷子電話相談室】すぐに躓いてしまいます

※「迷子電話相談室」は電話をなくした迷子のための電話相談室です。相談室開設以来、ここには一度も電話がかかってきたことがありません。そこで、当相談室では「きっと、こういう悩みを相談したかったに違いない」と想像し、電話をなくした迷子たちの相談を…

【迷子電話相談室】夜に眠れません

※「迷子電話相談室」は電話をなくした迷子のための電話相談室です。相談室開設以来、ここには一度も電話がかかってきたことがありません。そこで、当相談室では「きっと、こういう悩みを相談したかったに違いない」と想像し、電話をなくした迷子たちの相談を…

【迷子電話相談室】旅に出たくありません

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【迷子電話相談室】いてもいなくてもいいみたい

※「迷子電話相談室」は電話をなくした迷子のための電話相談室です。相談室開設以来、ここには一度も電話がかかってきたことがありません。そこで、当相談室では「きっと、こういう悩みを相談したかったに違いない」と想像し、電話をなくした迷子たちの相談を…

【迷子電話相談室】影がどこにも見当たらない

※「迷子電話相談室」は電話をなくした迷子のための電話相談室です。相談室開設以来、ここには一度も電話がかかってきたことがありません。そこで、当相談室では「きっと、こういう悩みを相談したかったに違いない」と想像し、電話をなくした迷子たちの相談を…

【迷子電話相談室】頭の中を解剖して調べたい

※「迷子電話相談室」は電話をなくした迷子のための電話相談室です。相談室開設以来、ここには一度も電話がかかってきたことがありません。そこで、当相談室では「きっと、こういう悩みを相談したかったに違いない」と想像し、電話をなくした迷子たちの相談を…

【迷子電話相談室】ともだちだと思ってたのに

※「迷子電話相談室」は電話をなくした迷子のための電話相談室です。相談室開設以来、ここには一度も電話がかかってきたことがありません。そこで、当相談室では「きっと、こういう悩みを相談したかったに違いない」と想像し、電話をなくした迷子たちの相談を…

「読書会 ~ファンタジー小説編 もしも『第26回 日本ファンタジーノベル大賞』が(2014年に既存作品から選ぶ形式で)開催されたら~」レポート(後編)

もしも今年も日本ファンタジーノベル大賞が開催されていたら、大賞を獲るのはどの作品?というテーマで開催したこの読書会。前編では、参加者の皆さんからの推薦作やいま興味のある作品、そして、当日ゲスト参加してくださった第14回日本ファンタジーノベル…

「読書会 ~ファンタジー小説編 もしも『第26回 日本ファンタジーノベル大賞』が(2014年に既存作品から選ぶ形式で)開催されたら~」レポート(前編)

「…これをファンタジーと言っていいの?」と疑いたくなるような、ひとひねり効いたファンタジー作品を世に多く送り出してきた「日本ファンタジーノベル大賞」。25年間続いてきた同賞は惜しくも2013年に第25回をもって休止となってしまいました。 (2016年6月…