フェンスに揺れるスカート

深森花苑のブログです。

ネット評価が落とした影

※プライバシーに配慮し、一部事実を同等程度の別の内容に変えています。

 

小さい頃から通っていたお医者さんがある。先生がとても優しくて、病院に行くのは全然嫌じゃなかった。痛くならないようにいつも細心の注意を払ってくれたし、帰り際にはなにか楽しい「おまけ」をくれた。口調も穏やかで、人生で怒ったことなんて一度もないんじゃないかってぐらいだ。あのお医者さんに通ってた人で先生が嫌いな人はいなかったと思う。

 

その後、そのお医者さんのお世話になるようなことがないまま約二十年の月日が経った。その間に何が起きたかというとーーネットメディアの台頭だ。誰もがこのブログのような、自己発信の場所を持てるようになり、自ら評価することができるようになった。

久しぶりに、お医者さんのお世話にならなければならいことがあり、予約の電話のためにネットでそのお医者さんのことを調べた。すると、酷い評価ばかりが出てきた。会員登録がいらないオープンな場所でだけ。会員登録必須のクチコミサイトではそんな評価は一つもないのに。

そもそもこのネガティブな評価は事実なのだろうか? 競合やアンチの適当な評価なのではないだろうか? 気にすることはない。先生がいい先生なのは、私がよく知っている。私はそんなことを思いながら予約をとった。

 

当日。先生は二十年前と変わらない優しい態度で治療してくれた。しかし、なにかがおかしい。後ろめたいことを隠しているような、そんな様子を感じた。治療は、というと、これまた二十年前と変わらない。痛みもなく、手際がいい。なにも後ろめたい思いをしなくていいのに。

 

「いい評価」のほうが実際多い。だから、なにも気にする必要はないはずなのだ。

真実かどうかさえ、関係ないのかもしれない。口から出たこと自体が、先生に影を落としたのだ。