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@桜の林
満開の桜の木の下。向かい合う女性が二人。どちらも時代がかった着物姿だがAの着物だけ泥にまみれぼろぼろ。
着物の女A「お前か、私に毒を盛り、この桜の木の下に埋めたのは」
着物の女B「いかにも。でも、あんたがまた必要になって呼び出した」
着物の女A「(失笑)必要? お前が殺したのに?」
着物の女B「どうしても、あんたに見てほしいものがある」
着物の女B、懐から扇子を取り出し、着物の女Aに向け、踊り始める。
着物の女A「○○(演目名)かい」
躍りを眺める着物の女A。その目に生者のようなあかりが灯る。
着物の女A「そりゃあ、いないだろうさ。この演目の良し悪しがわかるほど舞を極めたものなんざ、私をおいて他には」
着物の女Bの情熱的な舞が続く。
着物の女A
「その舞を踊るのが自分を殺した相手であっても、喜んで魅入るような女なんて、なおさらな」