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@ハロウィン前夜の魔法使いの家の玄関
多くの幽霊などこの世に在らざる者が魔法使いの家を掃除するために出入りしている。そこに、迷子と思われる7歳くらいの女の子が周りをきょろきょろしながら入り込む。白く、きれいな服を着ており、明らかに周りの幽霊とは雰囲気が異なる。
飛びながら天井付近を掃除していた幽霊Aが女の子に気づく。
幽霊A「ねぇ、ちょっとなにあの子」
幽霊B「? ……(女の子を見て)あら、生きてるの?」
幽霊A「こっち見てるんだけど」
幽霊B「ぴゃーっとおどかしてさっさと帰ってもらう?」
幽霊A「やだ、泣かれたらめんどうじゃない。こんなに忙しい日だってのに」
幽霊B「……ふふ、かわいいと思ってるならかわいいって言えばいいのに」
幽霊B、女の子のもとに飛んでいく。
幽霊B「こんにちは」
女の子「……(泣きそうな顔)」
幽霊B「ストップ、ストップ。泣かないどくれ、私の相棒が泣くことになる! あぁ、今のは気にしないで。えーと、あぁそうだ。はたきは好きかい?」
幽霊Bがはたきを女の子に見せる。長い毛のはたきは、犬のように動いている。はたきは女の子に飛びつき、なつく。
幽霊B「気に入られたようだね。ちょっとそのはたきとその辺散歩してくれないかね。今日はハロウィンの前日だろ? お屋敷をみんなで掃除していて、幽霊の足も借りたいくらい忙しいんだ。(声のトーンを落として)あんたも無事に帰りたかったら、手伝ってくんな」
女の子「(必死で頷く)」
幽霊B、にやっと笑い、幽霊Aのもとに帰る。
幽霊B「手伝ってくれるって。しばらくはあの子のこと眺め放題よ」
幽霊A「やだ、ミルク臭い。生きてた頃のことを思い出しちゃうじゃない」