フェンスに揺れるスカート

深森花苑のブログです。

@リビング

電話台の上に40代の女性の遺影。

母モノローグ『こんばんは、お母さんです。また娘ちゃんの様子が気になって来ちゃいました。う~ん、現世への未練ってどうやったら絶ち切れるのかしら。これじゃ転生してスライムにもなれないわ~』

一人でリビングの机のうえでたくさんの紙を広げている娘。年は中学生ぐらい。

母モノローグ『またあの子一人で……。お父さんも最近夜遅いし、しょうがないっちゃしょうがないんたけどね。お年頃なんだから友達とラインでもしててくれたほうがお母さんまだ心配しないんだけどな』

娘の手元アップ。作りかけのジグソーパズル、描きなぐった絵、教科書とノートなどがどれも中途半端な状態のまま散らかっている。

母モノローグ『なんか注意散漫って感じ。この前の親子喧嘩引きずってるのかしらね~。お父さんから怒鳴られるなんてたぶん初めてだったわよね、うん。これ以上頼れる人がいなくなっちゃったらどうしようって不安でしょうがなくなっちゃったかな。あれで結構繊細なところあるから……(娘、席を立ち、台所でコップに水をくみ飲む。そして、テレビをつけ、ごろごろする)あ~あ、またやめちゃった。散漫散漫サマンサ○バサだ~』

娘「(同時に)散漫散漫サマンサ○バサ~」

再度、机の上アップ。

ジグソーパズル、そして、描きかけの絵。絵はジグソーパズルと同じ絵が完成した状態で描かれ、さらに、その背景が描きかけの状態である。

娘「……大丈夫、大丈夫」

娘、テレビを見ながら一人で笑う。

母モノローグ『……繊細な子だから、見てるの気づかれちゃってるかな』