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@カップ麺の空き容器でできたほったて小屋
丸い大鏡の前に椅子。その後ろに白い毛むくじゃらの生き物。美容院のようである。
コンコン、と空き缶でできたドアチャイムが鳴る。
スーツの男が小屋に入ってくる。男は周りを珍しそうに見渡す。
赤いき○ね、緑の○ぬき、が圧倒的に多く、ときどき○pa王が混じっている。
白い毛むくじゃらの生き物、男を席に促す。男が席に座ると、散髪の準備を始める毛むくじゃらの生き物。
男「あの、髪型は……」
白い毛むくじゃらの生き物、有無を言わさず、ドライヤーを男にかけ始める。ブラシを使いながら実に丁寧な動作。
男「……」
白い毛むくじゃらの生き物、ドライヤーが終わると、いよいよハサミで男の髪を切り始める。リズミカルで心地よいハサミの音を聞くうちに、男の表情がだんだんと柔らかくなっていく。
男「人って、変われるの……(白い毛むくじゃらの生き物の毛が口に入ってなにも言えなくなる)……」
壁のラーメンカップが風でかたこと音をたてている。男モノローグ「まぁ、いいか……」