読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

フェンスに揺れるスカート

深森花苑のブログです。幻想小説を書いています。

黒そいのムニエルとなすのグリル

さみしい日の夜は思考がループする。食べなければ、と思っても料理の工程を模索するだけでエベレストに登るほど果てしない行程のように思えてくる。

悪さをしてるやつの正体はだいたい知れている。空腹は脳内で暴れ回る不快な一味の下っ端だ。あいつをまず倒さないと。

 

でも、あいつらはいつも集団で押し寄せる。ひとりぼっちで対抗するのはとても難儀だ。

なにを作って食べたって、ひとりでさみしく夕ごはんを食べている現実は変わらない。

ひとり分の小さいサラダ、ひとり分の日持ちする煮物。

食べてるだけでさみしくなる。

 

華やかなアクアパッツァやら彩りいっぱいの野菜のグリル。

みんなで囲んでパーティーすれば湿った気持ちもふっとぶかもね。でも、呼べる人はいないんだ。食べきれないで残った魚。余った食材が棚で腐って仕事を増やすのだろう。

 

なにか策をくれよ、マインドネス。

スーパーで「黒そい」という魚が目に入った。鯛をひとまわり小さくして、細身にした黒い魚。

みんな見慣れない魚なんだろう。売れ残って半額になっていた。

頭から尻尾までついているけれど、ひとりで食べきれない大きさではない。

 

ニンニクを刻んで、フライパンで熱したオリーブオイルのなかに投入する。

香りがたったら、小麦粉をまぶした黒そいを入れる。

黒そいを焼いている間になすの調理も。

縦に半分。あとは縞の切れ目のざくざく。オリーブオイルを入れた皿にならべてオーブントースターに10分。

黒そいは両面焼けたら、溶かしたバターとレモン汁を絡ませ胡椒を振って完成。

オーブントースターで焼きあがったなすには醤油をじゅっ。

今日の夕ごはんができた。

 

アクアパッツァのならぶホームパーティーなんてできないけど、華のある魚料理とグリル野菜ならできる。

ふかふかの黒そいの身はうきうきのパーティータイムの味がした。